10月に控えた消費税10%への増税。今後、不動産の売却を考えている方は、増税の影響を不安視されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?消費税増税前には、様々な商品の駆け込み需要が起きます。不動産においても、それは例外ではありません。
でも実は、今回に限っては不動産の駆け込み需要は見られていないようなんです。
様々なメディアや機関が「目立った駆け込み需要なし」と発表
日経新聞や不動産流通の研究機関は、2019年10月の増税に伴う不動産の駆け込み需要はあまり見られないと発表しています。
駆け込み需要の状況については、「すでに駆け込み需要がある」(7.4%)と「今後出てくる」(23.1%)を合わせて30.5%となった。一方、約半数の企業で「駆け込み需要はない」(48.2%)と回答。また、「(現在も今後も)駆け込み需要はない」と回答した企業を業界別にみると、「サービス」(60.2%)が6割超となり、以下、「農・林・水産」(57.4%)と「不動産」(55.8%)が5割台で続いた。
消費税引き上げが近づいても今回は目立った駆け込み需要は起きていない。政府が需要の振幅を抑える対策を手厚くしたことが奏功しているのか、自動車や住宅など高額品でも駆け込み購入の動きは限られている。増税直後の10~12月期の経済成長率のマイナス幅は、2014年4月の8%への増税時よりも小さくなるとの見方がある。日経新聞2019/8/1
不動産の駆け込み需要が見られない要因
今回、不動産の駆け込み需要があまり見られない要因となっているのは、2つの事柄が考えられます。
1.政府の増税対策
まずは、政府の対策によるもの。増税後の買い控え等をふせぐため、政府は住宅ローン減税や住まいの給付金の制度を限定的に拡大することを発表しています。
住宅ローン減税:控除期間を10年から13年に延長
住まいの給付金:給付金の上限を30万円から50万円に拡大
つまり、増税による負担額を税金控除や給付金によって補うという政策により、「今買わなくていいや」「増税後に買ってもいいな」と思う人が一定数いると考えられるのです。
2.不動産価格の高騰
2つ目の要因として考えられるのは、不動産価格の高騰です。
(出典:国土交通省)
上記グラフは、国土交通省が発表している「不動産価格指数」の推移を表したものです。不動産価格指数とは、基準となる水準からどれくらい不動産価格は高騰・下落しているかを数値化して表したもの。上記は2010年の平均値を100としています。
黄緑の線のマンションの価格が顕著に表れていますが、住宅の価格は近年、高騰しているんですね。東京オリンピックや低金利政策などの影響だといわれていますが、「今が買い時ではない」と判断する人が多いことから、増税前という状況でも駆け込み需要が見られていないと推測されます。
不動産売買に伴う消費税増税の影響
そもそも不動産売買では、消費税がかかるケースとかからないケースがあります。ここでどんなものに消費税がかかるのか、増税の影響はどのように受けるのか確認しておきましょう。
以下は、消費税8%が適用されるリミットです。
【注文住宅】
- 2019年9月30日までに「引き渡し」完了
- 2019年3月31日までに「工事請負契約」を締結:経過措置として引渡しは9月30日以降でもOK
【分譲住宅・分譲マンション】
2019年9月30日までに「引き渡し」完了
【中古住宅・マンション】
- 売主が個人:消費税はかかりません。
- 売主が不動産などの法人:建物価格に消費税がかかります。2019年9月30日までに「引き渡し」完了
【仲介手数料】
- 個人・法人問わず、消費税がかかります。基本的には、支払い時期の税率が適用となります。2019年10月以降に仲介手数料を支払う場合、税率は10%です。ただし、不動産会社が契約時に売り上げを計上している場合は、契約時の税率が適用となります。
- 経過措置として、2019年3月31日までに媒介契約を締結し、2019年9月30日までに売買契約を締結した場合、10月1日後に仲介手数料を支払っても税率は8%が適用となります。
【リフォーム】
- 2019年9月30日までに「引き渡し」を完了
- 2019年3月31日までに「工事請負契約」を締結:経過措置として引渡しは9月30日以降でもOK
まとめ
今回、増税に伴う不動産の駆け込み需要はあまり見られていません。駆け込みが見られないということは、反動としての冷え込みも大きくないことが予想されます。
ただし不動産取引は、消費税のみならず市況も大きく影響するものです。そのため「売り時」を判断するのは難しいもの。不動産会社への相談は無料なので、増税の影響や不動産の売り時が気になる方は一度話を聞いてみるといいでしょう。